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2019/11/02 20:44
兜割(かぶとわり)を紹介します。
兜割とは合戦時に携帯された接近用兵器で、アールの内面で刀を受け止め、鍵の部分に挟み込み、てこの原理でロックするという機能があります。
独特な内向きの曲面は一度刃部と接触すると相手の力で勝手に鍵の内側へと滑らせ、手首を返すだけで簡単に拘束できてしまいます。
非常に短時間の稽古でも相手の刀を無力化できてしまうことから使用が禁止されてしまったという伝承があるほどで、実際その使用方法の伝、型を残す流派はほぼないようです。
※本商品は、この使い方を伝承する道場に伝わる稽古用の古い兜割を許可を得て写し、量産化したものです。
のちに十手の原型となった武器ですが、その際にはアール形状の本体は棒状に、鍵は返しのないL字へと変化し、その強力な無力化性能は失われています。
十手術が残る古武術、体術の流派は多くあり、本身も多く流通していますが、兜割はごくまれに骨董品屋で用途不明の武具として見られる程度です。
以前テレビのお宝鑑定番組でも出たことがありますが、映像で写った際持つ方向が逆(刀と同じような反りの向き)で、鑑定者も機能を理解していなかったのだろうと推測されます。
体験セミナーで何も言わずに差し出すと、半数以上の体験者は逆向きに持つので「曲がった本体でぶっ叩く棒」という意識が強いのかもしれません。
兜割は別名鎧通しとも呼ばれ、本身は先端が鋭く尖っています(本商品は稽古用の為、安全を考慮し鈍く丸めてあります)。
内向きのアール形状は刺突時にも効力を発揮し、ただ相手に突き出せば、曲線の軌道で深々と突き刺さっていきます。
戦場では組討ち時、甲冑の隙間部分を狙って刺したと思われます。
本商品は握り部分まで金属の一体成形で作られていますが、そのまま握るとあたりが強いため、7mmのナイロンパラコードで巻きを施しました。
和の雰囲気から遠のきはしますが、戦場兵器としての用を考えればこれもまた実用的と言えるかもしれません。
失われた合戦時代の組討ち技法を体感できる貴重な機会ですので、是非手に取って稽古してみてください。
イベント時には使い方も実演しますので、お声がけください。