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2018/01/09 23:05

粋陽堂「手の内三部作」その二は、「柄巻木刀」です。



▽柄巻木刀とは?

握り部分に真剣と同じ柄巻を施した木刀です。
木刀の上に柄糸を巻いたものや、ラケットのグリップテープを巻き付けるなどの工夫は今までもありました。
粋陽堂の「柄巻木刀」はそれ用に設計して木刀職人が削り出した国産木刀に、プロの柄巻師が真剣と同じ工程で巻くという、伝統職人によるコラボ作品です。



▽より実戦的に、がコンセプト

剣術における実戦の場とは、日本刀を用いた戦闘です。
しかし稽古の場で真剣を用いることは危険で、場合によっては稽古での怪我で戦場に立てなくなってしまうこともあったとか。
安全性を確保した上でいかに実戦をシミュレートできるか、と考案されたのが木刀や竹刀。
しかし、型稽古、試合稽古へとシフトしていった江戸期には木刀術、竹刀術に成り下がったという批判が既にあったそうです。
ならば、より日本刀に近い感覚で使えるものがあれば高い稽古パフォーマンスを発揮できるはず。
ではその「感覚」とは?
材質、重量、音など様々な感覚が考えられますが、粋陽堂は道具と人間を繋ぐ部分=柄、握り=手の内、という発想から柄巻木刀の開発を開始しました。



▽なぜ今まで柄巻木刀はなかったか?

いくつかの説が考えられますが、調査から推測されるのが以下の理由です。
・握り良いように柄も削っているのだから、わざわざ巻きを入れる必要はない
・木刀のような安い消耗品に、真剣の柄巻を施す必要はない
という職人側の矜持と、
・流派で使う木刀は生地のままであるし、それが伝統であるから、巻いた木刀は使えない
・木刀に数千円出すのも躊躇しているのに、柄巻で万単位のお金がかかったら余計に手が出ない
という使用者側の現実が複合的に絡みあった結果と思われます。
調査で発見できたのは、土産物屋の店頭にあったもの、舞台関係者やコスプレイヤーが自作したもので、見栄えの向上が目的のようでした。
武道家による機能向上が目的の例も僅かに見られましたが、グリップテープによる滑り防止の工夫が多くを締めています。

▽柄巻木刀のこれから

少なくとも500年以上の歴史がある武道文化の中で、間違いなく誰かが柄巻木刀に挑戦したことでしょう。
しかし、様々な理由で現在まで定着には至らなかった。
粋陽堂は柄巻木刀の有用性の実証研究に挑戦致します。
柄巻木刀の開発は稽古の質の向上のみならず、木刀の価値創出、柄巻師の新たな需要開拓をも考慮した、未来に向けたプロジェクトです。



柄巻木刀の試作は既に完了しており、これから主だった武道家の方々に試用いただく段取りを進めています。
試用者の方にはSNS等での情報発信をお願いしていますので、

#柄巻木刀 #粋陽堂

タグでの検索をよろしくお願い致します。

お問い合わせは
粋陽堂
店主 横地 浩紀
Tel : 090-1834-0945
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*写真は全て木刀に直接巻きを入れていますが、鮫皮、目貫を入れたものも製作しています。
公開までしばらくお待ち下さい。