武道具・着物・和雑貨 

2018/01/02 23:10

粋陽堂「手の内三部作」その一、「丸柄木刀」についてご説明致します。



▽丸柄木刀とは?

柄部分が剣道の竹刀と同じ、丸い形状をした木刀です。
木刀職人への聞き取り調査では、過去このような丸い柄の木刀というのは作られたことがないそうです。
原型のようなものはなく、形状は一から職人と現場で打ち合わせをしながら作成しました。


*通常より少し太めの刀身に竹刀と同じ寸法の丸い柄。

*竹刀の柄革がそのまま装着できます(柄革は別売)。

*楕円ではなく、真丸。

*柄革なしの状態。柄上部のくびれ方は竹刀に似ています。

刀身部分は一般的な剣道連盟木刀よりもひと回り太めにし、竹刀に近い重量バランスになるよう製作しました。
重量自体も重めで、型の確認だけでなく素振り稽古にもご使用いただけるよう調整してあります。

▽丸柄木刀の発想の起源

丸柄木刀の着想は5年程前。
きっかけは日本武道学会で話題となっていた、剣道における「刃筋の乱れ」問題。
大まかに説明すると以下の通りです。
剣道において真剣(日本刀)と竹刀は同じである、という教えではありますが、現実には「竹刀操法」へ最適化されています。
実際には丸い棒である竹刀を板状の日本刀と同じように使うことは物理的に難しく、実現には竹刀操法への最適化を抑制するファクターが必要です。
連盟では「剣の理法」など思想や意識でコントロールするよう指導されていますが、競技化が進む中、それも難しいのが現状です。
「日本剣道形」「木刀による剣道基本技稽古法」「全日本剣道連盟居合(制定居合)」の学習で刃筋の乱れは正せるという見解で議論はストップしましたが、競技として見れば竹刀を竹刀として操った方が有利なのは当然で、三者いずれも不要と考える競技者は多く、普及・定着には苦労しているとのことでした。

▽乖離の原因はどこにあるのか?

ではなぜ真剣や木刀による補助的な稽古が竹刀の「刃筋」問題の解決に繋がらないのか。
あくまで試論ですが、
・真剣・木刀における「刃筋」は柄の形状による「触覚」ベースの認識である
・竹刀における「刃筋」は弦による「視覚」ベースの認識である
所に原因があると考えました。
竹刀の柄は丸形で、目をつぶって握りをクルクル回されたとしたらどこが刃なのかわかりません。
(剣道高段者に確認してみたところ、「刃は弦の逆」という視覚の認識でした。)
真剣・木刀の柄は卵形の楕円形であり凸方向に刃があるのは握った瞬間に認識できてしまいます。
この「できてしまう」のが問題で、真剣・木刀を持った瞬間に触覚ベースへと自動で切り替わってしまうことから、いざ丸い竹刀へ戻った時にはその感覚を活かすことができないのです。
つまり、「楕円だから刃筋をたてられる」のであって、丸ではできない。
逆に、丸でやっていた動作は、楕円では再現できないのです。

▽丸柄木刀の存在意義

真剣と竹刀を繋ぐ理想が「柄が丸くても刃筋を通せること」であるとするならば、それを実現できる道具を作ればいい。
条件は
・丸での動作を再現するため、柄は竹刀と全く同じ形状
・視覚での認識を強化するため、刃はしっかりと意識できるビジュアルに
・重量バランスで触覚認識させにくくするため、反りのほとんどない直刀に近い形に
・打撃時に少しでも刃筋が狂っていれば滑っていくよう、刃の面に傾斜をつける
です。
竹刀でしっかり刃筋の通った打ちをしたとしても、丸い棒で叩いているので「刃」部を手応えで認識することは困難です。
最後の条件4は、視覚による認識に加え、「刃筋が通った」手応え(=触覚)による認識を強調する仕掛けです。


*刀身の形状。直刀に近い。

実際に試用してみたところ、丸柄木刀で刃筋を通すにはかなりの技術が要求されることがわかりました。
視覚のみでの刃筋認識、触覚によるサポートがないため意識による高度な身体、操刀技術。
わずかでも狂っていれば、刃筋が通っていないことを嫌でも認識させられてしまいます。
すなわち、「竹刀で本当に刃筋を通す」ことがいかに難しいか、ということでもあるのでしょう。

▽丸柄木刀のこれから

剣道において「真剣=竹刀」は絶対であり、「真剣≠竹刀」や「刃筋問題」に触れることはタブーです。
実際試作の丸柄木刀を高段位剣道研究者の先生方に試してもらったところ、問題解決の糸口になる、良い研究材料となる、稽古に使いたいという肯定的な意見が半分、目をつけられたくなければ剣道の手の内の問題に触れない方が良い、これは存在してはならないと思うという否定的な警告の意見が半分でした。
しかし若い世代へのシフトや海外への普及が進むとともに、そこへ言及してくる層が既に現れてきています。
今何らかの対策をうっておかなければ対応ができず、立場が危うくなってくるかもしれません。
自分が知っている範囲内でも、熱心な稽古者は問題解決のための自己鍛錬を独自に行っているようです。
丸柄木刀の登場が多くの剣道家のより良い稽古の一助になれば幸いです。

お問い合わせは
粋陽堂
店主 横地 浩紀
Tel : 090-1834-0945
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