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2017/06/11 20:40

今回は粋陽堂で販売している袋竹刀について紹介します。



▼袋竹刀とは?
竹の先端を細かく割ったものを皮袋(刀の鞘を保護する鹿革の鞘袋)に挿入した稽古道具で、新陰流の創始者上泉伊勢守信綱が考案したと言われています。
袋竹刀登場以前は木刀か刃引きの刀しかなく、稽古での負傷も多かったそうです。
発明から450年が経過しましたが、新陰流系の道場では現在でもほぼ当時の形のままの袋竹刀で稽古が行われているのは驚きです。
科学が発達し様々な新素材が開発された現代でも、成長が早く、加工も容易で、弾力、衝撃吸収力に優れた竹に勝るものはないんですね。



▼竹を探して
とはいえ、竹林のない都心部に暮らす者にとっては竹の入手も容易ではありません。
ホームセンターで園芸用のシロタケを買うしかないのですが、中国産のシロタケは苛性ソーダで油抜きをしている為繊維がズタズタになっており、ほんの数回稽古に使っただけで折れてしまいます。
今からもう10年近く前、新陰流を稽古する筆者は、道場へ安定して竹を供給できるよう東海三県の竹材店を巡りました。
しかし、昔はホウキやモップの柄として使われていた竹も今はプラスチックにとって変わられ、竹材店自体が消滅しかけていたのです。
そんな中でたどり着いたのが岐阜県で放置竹林の管理伐採をはじめ竹のことならなんでも請け負う(株)バンブージャパンでした。
社長の亜岐氏と協力し、会社の一事業として袋竹刀の竹の供給がスタートしました。

*袋竹刀用の竹の油抜き作業をする亜岐社長。

▼袋竹刀に最適な竹とは?
袋竹刀に最適な竹種、加工方法を実に5年以上をかけて調査、実験を繰り返しました。
竹は繊維の強靭さでも知られますが、一口に竹と言っても色々な種類があるのをご存知でしょうか?
代表的なのが真竹と淡竹で、
・真竹:剣道の四つ割竹刀、弓道の弓などに使われる。裂けにくく折れやすい。
・淡竹:茶道具の茶筅などに使われる。折れにくく裂けやすい。
といった性質があります。
分厚い真竹を組んで作る四つ割竹刀は強固な防具をつけての稽古を前提としている為、竹材を厚く、固く、重くすることで耐久性を上げています。
その分与える人体へのダメージは大きく、場合によっては死亡事故や怪我につながることもあります。
袋竹刀は一本の竹の先端を割いて削り、薄く、柔らかく、軽くし、竹自体の耐久性をあえて下げる加工で人体へのダメージを軽減する仕組みです。
袋竹刀で多い事故は、面を受けられた際に中ほどで折れた竹刀がくの字に曲がり、顔、目を直撃してしまうというもの。
中折れによる破損事故のリスクを低減するため、粋陽堂で販売している袋竹刀では"折れにくい"性質を持つ淡竹を使用しています。


*数百本の在庫の中から選別作業中の筆者。

*竹林調査中の筆者ら。同じ種類でも環境によって太さや厚みが変わるため、遺伝子的に袋竹刀に適した「袋竹刀用の竹林」を確保しています。

▼袋竹刀の袋について
全国の武道家から竹の注文が増えるに伴い、より品質の良い袋への要望も高まってきました。
「袋もついでに売って欲しい」という声に当初は他武道具店から仕入れて対応していましたが、品質、供給ともに安定せず、自社ブランドの袋竹刀を製造することに。
調査と交渉を重ね、兵庫県の革工場で製造することが可能になりました。
兵庫県には皮をなめすのに適した水質の川があり、古くから革産業で栄えた地域があります。
残念ながらこちらも衰退産業で、廃業する会社が後を絶たない状況です。
ここに少しでも需要を持ち込むべく、新たな袋竹刀作りがスタートしました。
革の漉き方、種類、穴を開ける刃物、縫うピッチ、塗装に到るまで職人と試行錯誤しながら試作を繰り返し、数年に及ぶ耐久テストの末完成したのがこちらの袋竹刀です。



袋竹刀は使用者が自分で竹を加工することも多くしっかりした面取りがされていないため、袋の先端を傷付けてしまい、先から竹が飛び出してしまうことがあります。
こちらの商品は先端部に二重加工を施し、先抜け事故を予防しています。
また、乾燥や打ち込みの衝撃により塗料がパリパリと剥離してしまわないよう革に馴染むような塗装をしてあります。
自社ブランドですので、白い袋竹刀も製造、販売可能です。

ご購入、問い合わせは以下サイトからよろしくお願い致します。

粋陽堂
店主 横地浩紀
URL : https://www.suiyodo.jp/
E-mail : info@suiyodo.jp
TEL : 090-1834-0945
Facebook : https://www.facebook.com/suiyodo8890/
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